マツダヒーター.gif (16717 バイト)wpe2.jpg (9007 バイト)

2004年9月1日更新

補修工事編
カブマツの仕事を紹介して行きます。今回は築炉!!  自作陶芸窯の参考にして下さい。
 
西暦2004年4月23日、に御近所の陶芸窯の修理依頼を受けました。

可也酷い壊し様ですが1工程づつ順番に修理すれば
元道理に戻ります。
その工程を紹介しますので、御自信の窯作りの参考にして見て下さい。
正面画像、扉の納まり部分の
補強アングルが捲れています。
爆発の勢いで側面カバーも膨れ、補強アングルもへの字に歪んで居ます。
天井も1部何処かに吹っ飛んで居ます
(最大500mm×400mm幅)
天井手前側に向って入った大きな亀裂。
この様な亀裂が側面を含めて、4箇所も入って居り、補修工事には
側2面、正面、天井の4面の煉瓦積み替えが必要と考えられる。

見事な迄に潰れて使えない状態でした。
御本人に正式な修理見積を解答すると多分、この窯修理はしないと
思われます。(カブマツの正式な仕様だと新品依りも高額に成る為。)
唯、今回は、少し気の毒なので格安で工事をして上げました。
(今回の工事は予算の都合上不本意ながら既存の状態へ戻すだけに
留めました。)
 
ガスの配管をとバーナーを外して行きます。
天井部分の煉瓦を落とし、向って左側のケーシングを切断しました
ケーシングをガス溶断して取り外すと1層目のシリカボードが下へ崩れ落ちました。
正面と右側のケーシングも外しました
不用な煉瓦を全て外した状態

煙道面の壁以外全て外し解体作業完了、ここからイヨイヨ修理開始!!
向って左側に4.5mmの鉄板を溶接する。
元々の構成は3×40mmのアングルに1mmの鉄板を取付けた物なので可也強度が増した筈!!
向って右側の側板と正面のアーチ、補強アングルを溶接で仮付け
扉との隙間を合せて均等に付いていれば本付け溶接。
今回の爆発で扉の水平がやや下がり気味に歪んでいたので少し調整しました。
本付けを完了したら、耐熱プライマ―を塗りガスの配管を取付ける

ここまでの作業で2日の工数が掛かりました。
潜水扉の留金具も修理して溶接
向って右側内側の煉瓦の積む部分の掃除
向って左側内側の煉瓦の積む部分の掃除
2段目まで積んだ状態

両側を少し食み出しぎみに、然も対象に煉瓦積みした後、台車に合せて
隙間を調整する。
隙間を広くし過ぎると下からの炉気漏れが酷く
燃料費が高く成る為神経を使って作業を進める。

通常大型炉のこの隙間はサウンドシールで密閉するので
経年劣化で多少隙間が広がっても炉気漏れの量は殆ど変化
有りません。
向って右側の側面完成
向って左側の側面も完成
天井アーチの積み始め部分の
傾斜を削り出す
両壁を積み上がった所の正面画像
天井のアーチに合せて木型を組む

残す所天井を積むだけ。もう一息で完了
天井を上から見た所。
両端から順番に積んで行きます
積み上がり後炉内の中心へ50mmの孔を開け、温度計のスリーブを取付ける。
この上へライトキャスターを充填、其の後補強螺子で絞り上げる。
型枠を外し塗装した終え
作業完了


5月5日無事完成。結構残業して仕上ました。


今回の工事について

この一般の方向けの陶芸窯は、
矢張り煉瓦組が頼り無い構造に成っていました。
壁厚がモルタル3mm目地で計算しても146mmしか無く
此れなら可也の熱量が外に逃げているでしょう。

カブマツで、初めから設計する場合、
(炉内寸法が800mm以上の時)
横壁は180mm又は230mm以上(目地無しの厚み)、
天井は更に厚く250〜300mm以上(目地無しの厚み)を
基準に設計しますので放散熱量に可也
差が有ります。

唯、購入時の新品価格を聞けば110万円代と言う事で
納得の安さですね。

炉の修理は初めから施工する以外、解体、
ケーシングの修理費用が余分に掛かるので、新品依り
高く成るのが普通です。
陶芸窯は、鍛造炉と違い無理な操業をする事が無い
(出来るだけのバーナー容量も無い)ので
大事に使えば数十年、殆ど手を加える事は有りません。

とは言ってもこのタイプの自然燃焼式バーナの付いた炉は
安全装置が無いので、常にガス漏れと爆発の危険が有ります。
細心の注意を持って操業してください。

以上工事の感想でした。
 
ガス窯修理明細
工事前の仕様 施工後の仕様
壁製缶部材 3×40アングル、1mm鋼鈑 5×40アングル、4.5mm鋼鈑
壁材バックアップ シリカボード25mm 1層 シリカボード25mm 1層 注1
壁断熱煉瓦 日の丸RA-15 日の丸RB-15 注2
天井断熱煉瓦 日の丸RA-15 日の丸RB-15 注2
注1 この壁の場合炉内温度1,350℃の時1層目と2層目の継ぎ目の温度は計算上617℃に成りシリカボードの安全使用温度を超えるのであまり好ましい炉材選択では無い。温度は熱伝導率をシリカボード 0.2 RA‐15 0.5の時の値
(当社使用のシリカボ-ドの最高使用温度規格は650℃、安全使用温度は460℃〜500℃、今回工事でRB-15煉瓦を使用したので実際には
まだ数十℃温度が上がると思わます。)

注2 炉内温度1,350℃、然も直火フレーム(火炎)が当る炉内構造の場合、(株)マツダの規定では、RB-15で施工すると決めて居ります。
電気窯や、壁にセラミック類をベニアリングする築炉の場合は
RA-15で施工します

次の別企画で、ガス窯の燃焼安全装置に付いて書いて行きます。
安全の為の提案として参考にして下さい。